これは大げさではなくGDPRは世界の仕組みが大きく変える可能性があることを知ることができる本です。アメリカのIT巨人たちが牛耳るインターネットの世界と対立するEU。これから世界がどこに向かって行くのか?一読の価値アリです。
GDPRで世界が変わる可能性を示唆する本
「さよなら、インターネット」はこんな問いの答えを持つ本になっています。
- GDPRとは何者なのか?
- 何故GDPRが施行されるに至ったのか?
- 今のインターネットは何が問題なのか?
- どうしたら問題のない形になるのか?
- インターネットの未来はどうなるのか?
GDPRよりはその背景や将来についての考察がメインの内容です。
インターネットにプライバシーはない?
今インターネットの世界において消費者のプライバシーはあってないようなものです。
例えばダイエットについて色々調べていたら、気持ち悪いくらいタイミングよくダイエット食品の広告がでてきたり。これは消費者の行動が追跡されていて趣味嗜好を把握されているからです。
それを主導するのがアメリカ シリコンバレーのIT企業です。
シリコンバレー企業 国家を凌ぐ利益の源泉
アルファベット(グーグルの親会社)の純デジタル広告の売上高は約7.8兆円、フェイスブックは約3.8兆円という国家レベルの金額を稼ぎます。
この二社だけで世界のデジタル広告収入の33%にも及びます。たった二社で世界の三分の一です。
これらの利益のほとんどは消費者に無料でサービスを提供して情報収集、その情報から莫大な広告収入を得ています。
無料で便利なサービスが増えているけど、その代わりにデータという対価を払っているのがインターネットの現状です。
度重なる大きな事件
不祥事で情報が悪用されることでEUにおいて反発が強まってきました。その一例がこちら。
- Google Booksは2003年から世界の貴重図書1200万冊をフルスキャン。電子図書館化をサポートするグーグルの社会貢献かと思いきや、実際はAI開発の情報源にされて欧州大激怒。
- 2013年にはアメリカ国家安全保障局が世界中の個人情報を収集してきたことが元CIAのスノーデン氏の告発により発覚。
- ケンブリッジ・アナリティカの内部告発で、Facebookの個人情報5,000万件を不正に入手してアメリカ大統領選挙で利用した可能性が示唆されている。
そんなシリコンバレーの巨人たちにNOを突きつけたのがEUであり、その大きな一歩がGDPRなのです。
シリコンバレーVS EUという構図
- EUからすれば、シリコンバレーのIT企業はプライバシーを侵害する企業
- シリコンバレーからすれば、GDPRはITの進化を止める過剰な悪法
今後はEUだけではなく世界的に大きく対立することは間違いありません。
個人的には便利なものを無料で使えるメリットはかなり大きく、どんどんITを進化させて欲しいと思っています。そのために個人の情報を収集されることは苦痛ではありません。
というよりはIT巨人たちが凄すぎて正直そういうものだと諦めてしまっていました。
GDPRでやりたいことは何か?
個人データは本人の意思によって、提供・取り戻すことができるようにするための第一歩がGDPR(General Data Protection Regulation)一般データ保護規則です。
EUはGDPRによって個人データの所有権を企業ではなく、個人に変更するという大きな変革を行おうとしています。
EUが主導する仕組みとは?
個人にデータの所有権を移すためにGDPR以外にも実施していることがある。
欧州委員会はDECODEという個人データの主権を取り戻すためのプロジェクトを主導。
2035年に人々がクラウド上に個人情報ポータルを持つことを描く。これにより常に自分の個人情報は自分の管理下に置けることを目指しています。
インターネットサービスは個人によって許可された一部のデータにだけアクセス可能になるといいます。
これにはブロックチェーンの技術を活用して、改ざんされないという構想も。今は企業のシステムの中に個人情報が保管されているから全く逆のアプローチを目指しています。
こうした大きな流れを「シリコンバレーではなくEUが主導していく」というのも大きな狙いなのだろうと強く感じますね。
世界がGDPRの流れに乗ればインターネットが変わる
日本はまだまだGDPRを「対応しないといけない面倒な法律」と考えている。実際、Webに関する仕事をしていると対応に頭を悩ましている人と接する機会が多いです。
ただ欧州ではたただの法律の問題ではなく、大きなうねりになって歴史上重要な出来事になってきていて、いずれは世界を巻き込みその流れが日本にもやってくる可能性は大いにあります。
「GDPRによって世界が変わるかもしれない」現在そんな大きな変換点にあることを知ることができます。インターネットのビジネスに関わる人は読んでおくことをオススメします。
ではまたっ